【教】 舞台役者 ヴィクトル[ ほんの軽い気持ちで問い掛けた質問への返事を 手を握り締めたまま、黙って聞き続けていた。 その間も、鐘の音は響き続ける。 ──優秀な記憶力も然ることながら リーが俺のことを良く見ているのは、当然知っていた。 だとしても、ここまで詳しくとは想定外。 嬉しさと同時に、気恥ずかしさも僅かに沸いてくる。 途中、握る手に力が篭ることも幾度。 「それ誉めてるのかけなしてるのかどっちだ」、と 反応箇所で理解出来ただろう。 勿論、表情は嫌な顔一つしていない。] ……そうか。ありがとな。 でも、相変わらず容赦ないところは無いよな、お前。 [ 出会った頃のハリネズミ状態を思い出し、ふっと笑みが零れた。 あの時は容赦ない物言いと態度で、 周囲も己も随分と迷惑を被っていたものだが。] (/12) 2019/04/24(Wed) 0:20:07 |