【墓】 神の居ぬ間に弓を引こう マユミ>>0 叶 叶は容易く、その気配を見つける事が出来るでしょう。 場合によっては、あなたを呼んでいるようにすら。 静かに、しかし体中を軋ませて、待っているのです。 そして、いくつかの角を曲がった先に、それは居ました。 みし、ぱき。骨で形作られた片翼と手足が軋みます。 その中心で俯いていた顔が微かに上がり、 そして安堵の顔を見せました。 タブレットは足元に落ちていて、 骨の足の長さのせいで半ば浮いている少女に それを拾う事は出来ないのでしょう。 だから、視線をあちらこちらに送るだけ。 和装が溶けてしまったせいで露わになった上半身。 両肩から肘までは、檸檬色と葡萄色の結晶に覆われています。 そして胸元をぎちぎちに締めているサラシの上部から、 鎖骨の上辺りまでを血の色をした結晶が守っているようです。 だから、口をはくはくと動かすだけ。 「よかった」 だから、涙を流すだけ。 「きてくれた」 (+0) 2022/06/06(Mon) 23:03:28 |