【墓】 客 タカノ[ それを思えばこそ、写真に残したいし、 食べるのを躊躇う気持ちを払拭したかったから。 いついつまでも眺めているなんて、 作った側の本望ではないだろう。 それでも、やっぱりどうしても 最初の一口は、描かれた四葉を避けて フォークを入れた。 いつだって思えばそう、口にしていたけれど それでも今日ほどの、熱量はなかっただろう。 ] ……幸せの、味がする [ ゼラチン質の白と、瑞々しいマンゴーのオレンジ クコの実の赤がまた、彩り華やかで。 それを囲う甘い茶色が、額縁のように、 そのタルトを飾っていた。 マンゴーの香りに、さっぱりとした杏仁豆腐の 甘さが心地よく調和して、くどさを感じさせないまま 最後の一口まで、導かれていくようだった。 ] (+2) 2023/03/09(Thu) 1:27:00 |