【墓】 新芽 テオドロ>>4 フィオレ 「……言ったでしょう。 俺は傷つけあうような趣味は持っていない」 それは、見せれば要らぬ負担を掛けると言っていると同義であり。最大限の譲歩で、引いた線から踏み入らせないようにしている。 信用できないからではなく、 信用しているから。相手の優しさを。その危うさを。 「いいですか。 あんたは勝手に俺の世話を焼いているんです。 感謝なんかしてやりません。甘えもしません」 自分は、自己価値という見返りを求めていた。 花も人も、己に少しでも光を分けてくれるものだった。 けれどあんたは、他に見返りに足るものがあるのかもしれないが───今の俺にはそれが見えない。 「それを食べる前に……ひとつだけ聞かせてください。 フィオレさんは何故。……何故なんです?」 子どもたちのために頑張るのはわかる。 けれど俺の友人として近くにいたこと。 前や、今もこうして食べ物を持ち込んだこと。 質問そのものはまとまらなかったというのに、 その理由が、はっきりとした言葉で知りたくなってしまった。 (+5) 2023/09/24(Sun) 0:46:24 |