【墓】 瑞野 那岐[彼が腰をスライドさせる度に、濁った声が零れて。 とても可愛いなんて言えない、男の低い声。 どうか、そんな姿や声を聞いても萎れないで欲しい。 その昂りはまだ、感じられているから、ホっとしながら。 色香の漂う、溜息に。思わず唇に視線が向く。 彼をこんな顔にさせたのは自分なのだと思えば、 少し優越感も感じながら、ようやくそこで。 微かに、笑う余裕も出来ただろうか。] ……いい、からッ、 おれで、 きもち、よく、なって……? [涙を浮かべながら、もう一度。手を伸ばして。 恋人みたいにあまく、手を繋ぎ合えば。 そこには満たされていく気持ちしかなくて。] (+5) 2023/03/25(Sat) 1:41:09 |