人狼物語 三日月国

246 幾星霜のメモワール


【墓】 白昼夢 ファリエ

>>12 エミール

「そう見えたのなら、きっとそれも本当なんだと思います。
 誰にも会いたくなかったからここまで逃げてきたんですよ、私」

それもあなたに見つかってしまったのだけれど。
幼い頃から他人に触れられることも本当はあまり得意ではなかった。

かと言って我慢している風には見えない。
宥められて落ち着いたのだろう。
祭り前の時と同じで、あなたにはある程度気を許しているから。

「あなたに言っても仕方ないですよね。ごめんなさい。
 もしかしたら私が思うほどこの痣も特別なのかもしれませんし。
 あーあ。私も街の人達みたいにはしゃげたらなあ」

その訳も分からないたったひとつの痣に翻弄されている事実もまた、心を揺さぶる。
この世界には不思議なことが溢れているのが当たり前で。
冒険者だったら違ったのか。幸せになれたのか。
……分からない。今は考えたくない。

「相応しいかどうかなんて。はあ……聖女様が全部わかってたら教えて欲しいですよ。
 でもエミールはまだなんですよね?
 頑張って──って言うのが正解じゃない気もしますけど、気を付けてください」
(+6) 2024/02/06(Tue) 19:49:10