【墓】 3年生 武藤景虎[あの時と同じように、一人で走る姿を美術館エントランス前で座りながら眺める。>>19 今のオレの体、形はあってもおそらく意識だけなのだろう、幽霊のような姿は疲れたりはしないかもしれないが、一緒に走るのはしんどそうだし。 くっきーが走っているところを見るのは好きだ。 ぼんやりと見ながらどうにも走る様子が前とは違うとは思っていた矢先、植え込みに向かい体を曲げるのが見える。 嘔吐しているところを女子が見られるのは嫌だろうとは思ったがそのようなことを考えてる暇はなくて駆け寄った。 オレの姿は見えないのだから気にしなくて良いのだろうけど、まあ、心情的に。] ……、 [緩く背中をさする仕草をしてみてもそこに温度は感じない。 驚愕を孕んだ声に視線を移すと、吐き出されたそれらは林檎の残骸だった。 正しく夢の中なのに、果実の腐り落ちたような香りは感じられた気はして。 林檎そんなに食ってたっけ、なんて思ってもカレーとか他のもの食ってたのは知ってるし。 異常現象のひとつなのだろうとは理解して。 これらが何を表すのかわからないけれど、この中を生きてる皆の精神に優しくないのはわかるから。 添えた手で背を軽く叩いた。] (+7) 2022/09/10(Sat) 8:59:22 |