アンジュ
「私あの時言ったように、
私じゃない人が光ればいいのに思ってた」
そろそろいいだろう。既に聖女の痣が光るものも既に大半。
むしろ貰えていない方が落ち込んでいるようにも見えてきたし、祭りの終わりが見えるこの日もあなたの身は無事だったから。
それでも言葉選びは少しだけ慎重になる、この痛みが自分だけのものじゃないってわかってるし。
「祝福だってみんなは思っているけれど。
……この痣が光らなかったら、助かる子がいたの。
どこかに閉じ込められた女の子。
今でもあの子は外に出たいんだって感じる」
「私、その子の事本当によく知ってて、大事で。
だから直ぐに思ったのが助けなきゃだった」
決してお人よしの話ではない。
ほんの少しだけ認識をずらした例え話、誰かが淘汰されて誰かが生きているお話。
自分の人生の加害者に大事な人を入れずにすんだ、そんな都合のいい展開で栞が挟まれて止まっている。
「うまくいけば私が閉じ込められて、その子が助かる。みたいな。
ずっと心配してくれたのに無茶言っててごめん……。
頼りないわけじゃないわ、ずっと助かってたしこれからも助けて欲しいと思ってる。
だから気にしないで、えっと、……傍にいてくれるかな」