【墓】 1年生 朝霞 純【病室にて】 [とろとろとした微睡みから目が覚めて、もう一度眠ろうと毛布を被る。 眠気はずっと頭の中に居座っていて、眠ればそこに津崎さんがいる。 眠りたくなくても眠れない、会えないなんてことがなさそうなのが救いだった。 でも今回は、傍らにいたお母さんに声をかけられて。] 何? あ、林檎は剥かなくていいよ、お腹空いてないから。 [何か食べさせようとしてくれる気遣いは嬉しいが、今は林檎は食べる気になれない。 嫌悪感、というほどのものは、今は感じないが。 自分が殺した女性と、今、生死の境目にいる大切な人。 両方を思うと、食べる気になれなかった。] 絵を描きたいから、もし出来たらだけど、次のお見舞いはスケッチブックとペンを持ってきてくれると嬉しい。 [絵を描くと約束した。 病室の中でもそれは出来るだろうと思って、そう、お母さんに言った。] (+15) 2022/09/12(Mon) 9:21:49 |