【墓】 規律 ユス>>薬局 ただ生きたいという鮮烈な少女の願いも。 ただ理解したいという青年の唯一の欲も。 そして彼らに手を伸ばした者達の意思も。 それら全てがいなくなってしまえばそこにあるのは、彼らが「そこにいた」と言う僅かな名残のみ。 倒れた陳列棚。乾いた血溜まり。散らばった商品の数々。多くの残滓が留まった場所に二人は到着した。 「当然と言えば当然ですが、殆どそのままですね」 前回駆けつけた青年は今は学生服ではなく動きやすいツナギを着ていた。人を助け運ぶ緊急の用事ではなく、人々の名残りを丁寧に掃除するのだから。 (+22) 2022/03/04(Fri) 4:43:41 |