【墓】 神谷 恵太>>38 柏倉 「………………ぼくは。 たぶん…… 嘘は苦手です、けど」 眉尻が下がる。髪でほとんど見えないだろうが。 元よりこちらは利益のみを得る側であり、条件がどうであれ受け入れるしかないのだが…… それにつけても、副会長の言葉はまったくもって正論。少なくともすぐにかけた梯子を外されることはなさそう、と信頼してしまうくらいには、ブレがない。 が、そうなると、どうシラを切るかが問題になる。 自分の異能はクラス内でも知れている。 他にも『見間違えた』ことがある人間は多い。 つまり、急に見間違えが起こらなくなったなら、まず間違いなく自分には視線が集まる。 そして異能が働いて『いない』ときの自分は普通に喋れてしまう。周囲の追及にボロを出さない自信は、ない。 「……………………あの。 先輩の知り合いに、医者とか、カウンセラーとか。 そういう方、いませんか」 嘘を貫き通すには筋書きが必要だ。『薬』以外で異能の影響を抑えられたと、周囲が納得するような話が。 そのための登場人物を、探す。 (+29) 2021/11/03(Wed) 12:47:13 |