【墓】 瑞野 那岐[ついぞ出た声に返された反応は、 やはり、余裕の残る視線を流されるだけに見えたから。 熱くなった頬を掌で覆うみたいにして顔を背けた。 飲むな、とは言わないけれど。 さすがに動揺は隠せなかったから。 愛液と確かに同じようなものかもしれないけれど。 自身の身体から吐き出したものを、含まれるのは。 あの日、心臓を食べられると思った、 デザートを口運んでいた時の感覚と少し似ている。 口を漱ぐのを横目に、少しホッとしたのは。 ]自身のものを残したままの彼と、 もう一度キスするのは、少し躊躇いがあったから。 それは、心の内だけ閉まっておくことにして。 (+38) 2023/03/22(Wed) 22:55:11 |