>>+23「…………」
ママと呼ばれた人間は笑みを作った。瞳や口元が綺麗な弧を描く。慣れてしまった作り笑いを浮かべ続ける。
貴方の胸の内にしまい込んでいる叫びを吐き出したとしても、きっと使用人は微笑みを張り付けたままだろう。
自分にとっても大きな決断をするのは、まだ先だ。選択をするのに、自分自身の内側を整理しきれていないのだから。
「……ふふ、ありがとうシトゥラ。
産んだ子を育てたこともベビーシッターの仕事もしたことないのだけどね。そう言ってくれると嬉しいよ」
今はただ、抱きしめることしかできないのだ。