【墓】 3年生 黒崎 柚樹[パンが美味しかった。 美味しいと伝えることができた。 それを心底喜んでくれたか否かは、推測でしかなくて、武藤の言葉 >>+42 は、もしかしたら互いの傷を舐め合うだけの言葉だったかもしれないけれど。 それでも、この無機質な病室で一人抱えて泣くよりは余程に良かった。 武藤のおかげで、涙も早く引っ込んでくれたのだと思う。] ────行く。 小泉さんのパン屋さん、行く。 [小泉さんの後輩です、とてもお世話になりました、って言って、いっぱい買い物する。 ようやくに目を合わせた武藤は、武藤の側も泣いた後っぽい顔になっていた。 けど、あからさま、私の方がもっと泣いてて、なんだか悔しくなったかな。 最後にぼろ、と零れそうになった涙まで唇で止められ、ようよう気持ちが落ち着いたのだった。] (+46) 2022/09/14(Wed) 11:33:46 |