【墓】 2年生 松本志信─病院・武藤くんと>>+44─ [ベッドの上でただ空を眺めていた。 病室のドアが開く音に振り返れば、そこには武藤くんが立っていた。 その姿は幾分と元気そうで、怪我などなかったことが窺える。 開口一番告げられたそれ。 武藤くんがどこまで俺を見ていたのかは知れないが。 その言葉が嘘偽りない本心であろうことだけはわかる。 唇を開いたけど、空気を吐くだけで声は一つも出なかった。 ふっと苦笑を漏らして、自分の喉を指さす。 その後首を振れば理解はしてもらえるだろう。] ……、…。 [「生きていてよかった。」 頷けばいいのか、首を振ればいいのかわからなかった。 永遠に、その答えは出ることなどない。 だから「ありがとな」とゆっくり唇を動かした。]* (+48) 2022/09/14(Wed) 12:13:36 |