【墓】 7734 迷彩 リョウ>>+55 『トモダチ』 テレビの向こう側はどんな世界だろう。 想像してみても、複数本のケーブルと埃っぽいテレビの裏側しか思い描けなかった。 「叩くのが嫌だったら殴って。 殴るのが嫌だったら、んー……鞄にさ、道具入ってたよね。 それ、何でも使っていいから」 最後の言葉を聞けば、周囲を見渡した。誰もいなければここでもいい。 「……」 視界の中に、黒髪の男を二人見る。 背丈の近い男>>a4を見た瞬間、自然な笑みが浮かび── 上背の男>>a11を視界に捉えた瞬間、その笑顔は失せた。 「場所、変えようか。適当な部屋でいいよね?」 液晶画面が歪んで映り込む眼鏡へ、視線を戻す。 鞄を片手に抱えると、先導するように歩き出した。 机と椅子の間を縫うようにすり抜け、出入り口で一度振り返る。 貴方を待っていた。 (+56) 2021/09/26(Sun) 0:04:23 |