【墓】 瑞野 那岐[テレビの向こうで活躍する姿を見たのは、 その日の夜が初めてだったと言ってもいい。 MVで見た彼の姿が過去の彼に重なって、 ようやく同一人物だと理解したぐらいの知識。 それまでは耳で得られた彼が懐かしく話す声しか知らなかった。 俺が惹かれていったのは、液晶の向こうではなく、 優しく穏やかな声で月を想うような、 Hare悪戯めいたサービスを思いつくような、 大事そうに俺が作ったデザートを写真に収めるような そんな、あなただったから。 触れたい、と、思う。 まだ知らないあなたを。 スクリーンの向こうに居るあなたも、全て。 ――――欲しい。] (+57) 2023/03/23(Thu) 8:48:18 |