【墓】 尸解仙 キファ>>+57 それから、表情を和らげる。 「冗談だ」 キファは、随分落ち着いているように窺えた。 悟ってしまったのだ。 サダルの顔を見てもなお、あの激情は蘇らない、と。 きっと、それで良かった。 「吾は結局、おまえに何が起こったのかよく知らぬ。 おまえがどうして急に、 吾に対して無感情になったのかも分からぬ」 でも、深くは問わない。怒ったりもしない。 キファは全てを許容する。 そうすることが。 「サダルよ」 そうすることがきっと、 良いお嫁さんなのだと信じていたから。 それはきっと、優しいお別れの言葉。 今のキファの在り方の証明。 「──吾は、おまえにとって良い恋人で居られたか?」 (+63) 2021/04/25(Sun) 19:51:55 |