【墓】 尸解仙 キファ キファは道端に転がって、天を見上げた。 今にも雨が降りそうな曇り空が、少女の目に映る。 「何故あそこまで、ヌンキは吾を探している? ……ヌンキは元々そういう奴だ。 でも、だからって。あそこまで」 「……まるで、恋情で何も分からなくなった時の、吾みたいだ」 もうサダルが死んでしまったと信じるのが怖くて。 この世界に、彼がまだ居るって信じたくて。 「まさか」 「……ヌンキは」 「吾のこと、が」 ──それからキファが立ち上がるまでは、早かった。 (+70) kano_teiki 2021/04/27(Tue) 16:01:24 |