【墓】 7734 迷彩 リョウ>>【食堂】 >>+91 立ち上がった貴方に、少年は目を丸くした。 大したことを話したつもりなど、微塵もなかったから。 死ねと言われたことが悲しかったわけじゃない。 自分の夢を、生きる理由を、 ちっぽけなものだと扱われたことが悲しかった。 貴方の感傷が、理解できない。 「やっぱりそうだよね? ここで死んだら、同じじゃないもん」 故に。 的外れな言葉を、そうと気付かず平然と返した。 「でもさ、でもさ。望まれて産まれただけじゃ、」 ほんの数年で見える世界と常識は一変した。 無学な少年でも、大人達が何を言わんとしているかは察しがつく。 「────生きるのを許された、ってことにはならないよ」 これは曲論だらけの少年が学んだ、数少ない正論だ。 (+92) 2021/09/27(Mon) 17:22:34 |