【墓】 がらんどう ゲイザー>>+103 サダル 「?そうですね。サダルさんは『また』みたいな覚えの感覚はないと?」 『また』を思い出すとなんだかぞわぞわする。女は軽く頭を振って切り替えた。 「確かにここはある意味では良い世界ですよね。恐らくもう死ぬ事はない。穏やかな場所かもしれません。 ……でも。私が欲しいものは好きな人だけ。好きな人こそが私の生きる意味。いない場所なんて、もはや世界を失ったに等しいものですよ。 だからといって好きな人の死を望み、こちらに来てくれる事を待つのも嫌です。その間黙って指咥えて見ていろって言うんですか?好きな人に火の粉が降りかかったり虫が寄ってきたりしても? 私はそんなの耐えられません。どれだけ苦しくても死に物狂いで障害を叩き潰す努力をします。どれだけ辛くても私は好きな人の傍にいて守ってあげたい。そして愛を与えてあげたいんです」 躊躇いなく言い放つ。揺らぎはない。 「……サダルさん、キファさんについて何か思うところあるんですか?何か考えている事があるように見えますけど」 女は目敏い。貴方の表情が引っかかるようだ。 (+107) もちぱい 2021/04/28(Wed) 4:42:44 |