【墓】 1年生 朝霞 純>>+89 [私は目を細めた、泣きそうになるのを堪えた。 嫌われる覚悟をしたつもりだった、責められる覚悟をしたつもりだった。 津崎さんを大切に想う人から、彼を傷つけたことを怒られるべきだと思った。 友人という立場の人からでも怒られたかもしれないけど、私は松本さんに怒られたかった。 津崎さんを想い、追いかけた人に怒られたかった。 でも経緯は言えなかった。 怖かったのもある、だけど何より、その経緯に松本さんは関係がなくて。 関係があるのは、傷ついた津崎さんを通してだけで。 だから、覗き見たという言葉で誤魔化した。 実際、覗き見ている、それが本当の怒られたかった理由ではないだけで。 でも、多分、伝わっている。何故だか。松本さんはいつもそうだ。 優しいからか、それとも、どこか似ているところでもあるのか。 私に与えられたのは、優しい叱咤だけ。 それでも以前そうしてくれたように、どうすべきなのか、分かる気がした。 またすれ違うかもしれないけれど、後悔だけは、もう、残したくない。 今度は、手を掴む、追いかける、もう遅かったとしても、そうしたいから。] (+108) 2022/09/15(Thu) 6:23:59 |