【墓】 1年生 朝霞 純【夢の中・特別展にて】 >>+178 [私はずっと津崎さんの側にいたいと願っていたからか、寝れば津崎さんの側にいるということが大体だった。 でも、今回私が目を覚ましたのは、特別展。 工藤さんの肖像の前。 肖像を見れば綺麗に修復された林檎頭の彼女。 他の肖像と違うのは、胸を彩った私のハンカチ。] 小泉さんの死を受け止めるって決めたから、少しだけしかいられないけれど。 [そう言って、私は彼女の肖像をわずかな間だけ眺める。 すると頭の中に響く声。] 悲しむだけが死者の想い方ではないわ。 別にそれを否定するつもりはないけれど。 でも、たまには他の想い方をしたっていいでしょう。 私を絵に描いてくれたみたいに、死者の在り方にも色々な形があるのよ。 さあ、手を取って。 [思わず横を見る、そこには工藤さんの肖像と違う、私の描いた彼女がいた。 私は少しだけ考えて、そっと彼女の手を取った。 瞬間、世界が変わる。 特別展から、真っ青な空へ。] (+181) 2022/09/15(Thu) 23:01:38 |