【墓】 客 タカノ[ 他人を羨むことがなかったわけでもない。 自分の椅子にのうのうと座った後輩を 妬んだ日もある。 しかし自分を見直すには、いい機会だった。 削れた心を埋めるにもまた、いい日々だった。 あの頃の俺と来たら、目に入るもの全て 破壊してしまうような目つきをしていたから。 可哀想と言われなくなった頃には、 今の生活が気に入っていたかな。 バイク以外の好きなものを探す時間が出来て。 引退報道から三年もすれば、 街中で声を掛けられる事もほとんどなくなり、 ひょいと、予約もしていない店に 訪れ、気に入りの場所になることも、 あのまま無理矢理に走っていたら、 見えないものだったと今思えている。 ] (+230) 2023/03/14(Tue) 3:53:31 |