【墓】 ねこ カチューシャ>>8:+314 ミーシャ [偽りの花と呼ばれ差し出された花は、この世ならざる妖しい光を堪えていて。 そんな光に照らされた彼もまた、不敵な笑みを浮かべたまま。] 「……へんな名前ニャン」 [そうにべも無く返せば彼の不興を買っただろうか。 そして促されるように、誘われるように花を手に取ると、煌めく花弁が手の平にこぼれ落ちた。 落ちた花弁から次々と花びらが舞っては光となってゆく。 ふわり、ふわりと周りを彩る光に高揚すれば、気が済むまでその景色を眺めた。 それは、本物になれない紛い物が生み出した景色だったけれど。 どんな物語よりも、どんな名画よりも、心を打つ本物の景色だった。] 「……おやすみ、ニャ」 [気が付けば黎明の静寂に一人。手には花弁のない造花が一輪。 魔法の夜は解け、夜明けはもう目前だった。**] (+473) 2024/10/20(Sun) 3:41:19 |