【影】 おひるね キンウそうして寝息を立て始めると、開けたままの窓からぬるい風が訪れ彼女の髪を揺らす。 それはやさしくも、ほんの少し急かすように。 親が子を起こすような、そんないつものささやかな光景。 はらりと滑り濡羽を深めた影から、抜け出すように数羽の烏が飛び立つ。 一羽は本棚へ、一羽は壁掛けの絵へ。 窓の外へと羽ばたくものもいるだろう。 あなたの口ずさむメロディに、それはそっと身を潜らせるかもしれない。 今日も彼女は夢を見る。 そして、どこかに朝がやってくるのだ。 (&79) 2022/07/27(Wed) 5:55:46 |