【神】 緑山 宗太朗帰ってきて、夜になって。また一緒に夕飯を作って、一緒に食べ終わって。 紙コップ花瓶には指輪だったものが浮かんでいるだろうか。乾燥を防ぐため、とかで。 諸々を済ませて、まったりとした時間を過ごしていた頃。 男はなにかに誘われるようにふらっと、何となさげにソファから立ち上がって。 ぽつぽつと外に出たら、空を見上げて「おっ」と声を上げた。 声を上げてから、貴女の元へ声をかけながら。 「美海〜。」 ねぇねぇと、貴女と目線を合わせようとしている。 貴女が座っているなら、近くで屈んで見上げる姿勢を取った。 「今日って晩酌付き合ってくれる?」 「……ちょっと飲ませたいのとか、あって。」 この日の為に選んできた酒が、荷物の中にまだ眠っているのだ。 「後、月が綺麗だから……」 外で飲もうと月見酒のお誘いを。 月、なんだか久々に見た気がするから。 (G0) 2023/03/08(Wed) 22:53:56 |