【神】 ライアー イシュカ>>G2 エルナト その返答に何故か一瞬言葉を飲み込むように空白が空く。 形容しがたい表情はすぐに戻るも、視線の圧には睨み返して。返す。返──やめた。先に視線を外して大袈裟に肩を竦めた。 肯定しないなら否定、なら頷きかけた。 違う。そうは言ってない。この不整合な思考が嫌になって仕方ない。 「……そんな言い方される事に僕が驚きだ。 まあ……もう生徒じゃないからな。 言ってた奴は殆ど卒業したんじゃないか、治療して」 何を言いたいのかは薄ら理解したが、 余計なお世話だとばかりに仏頂面のまま手をしっしと払う。 「持ってねえよ。外に出た経験があろうと、 昔から僕の世界の広さは何一つ変わっていない。 そもそも、外が籠以上に最悪な場所だったら、 気持ちがどうあろうと嫌いでも居続けるしかない。 利用する相手は理論で好意的と言う感情に修正できる人間なら楽だろうなぁ。その前にさっさと治るかもだが?」 胡散臭えと、やや小馬鹿にしたような皮肉を向ける。 男からするとそんなある種の不気味な器用さは持ち合わせていないから、理解できない。欠片も信じている様子がない。 「小難しい歴史や協調性だの調和だの演奏なんてどうでもいい。音が好きなだけ。そっちも本を観賞用に積む奴とは違うだろ」 (G6) 2022/05/01(Sun) 17:21:11 |