【神】 銀の弾丸 リカルド【ノッテアジト】 ”酒を飲むのに忙しい” その最後の一言だけが勿体ない。 そう思いながらも、上司に続いて会議室へ入っていた男は、馴染みであるマウロの隣に腰を落ち着けている。 表情を見たまま荒れているのを悟ったからだろうか。 常日頃からぐちぐちと宣う小言を言うこともなく、静かに会議の流れに耳を傾けていた。 「下手人を見つけたら直ぐにでも殺して良いのですか。 となれば、手柄は争奪戦ということになりますね」 ク、と口端を上げて笑みを浮かべ。 周りに発破をかけるような言い回しを選んだ。 勿論自分が仇をみつければ、必ずこの手で始末してやるとは心に決めているのだが。 それはそれとして、この場で場を乱す行為は慎みたい。 ボスが不在になったという大きすぎる傷を、混乱という名で広げるのだけはしてはならない事だと、男はちゃんと理解していた。 (G10) 2022/08/09(Tue) 9:45:33 |