【神】 商人 ミロク>>G9 【貯水槽】 「怪我はしていませんか、手の感覚がなくなると思いました」 弱音を吐いただろうか、初夏の台風。 湿気を含む暑さに参るか、吹き荒れる雨に体温を奪われるか。 検査服に袖を通して不満そうな顔を隠さない男は、 招かれるように椅子へと向かった。 身体よりも髪を先に。体調面は慎重に扱う。 「お言葉に甘えましょう。 病にでもかかってこれ以上お世話になりたくないですから。 これだけの人数が来るにはあまりに拙い施設ですし。 早めにここを出ていきたいです」 遠慮もなにもない。 元より部外者に与える食事も無いのに技師は社会を気にした。 それぞれの立ち位置で優先する事柄が違うのを常々感じる。 目の前の男達はどうなのだろうか。 (G10) 2021/07/02(Fri) 3:24:33 |