捕まった人間の名前にも、彼が手をかけた養育院にも、覚えがある。
あるはずだ。ずっと、可愛がっていた子供たちがそこにいたのだから。
引き取られることが決まって、自分のことのように喜んでいた。それがきっと幸せに繋がると思っていたから。
かつての弟のように。
だから。
自分が何よりも守りたかったものが、失われていたことを知って。
心が、割れるような音を立てるのが 聞こえた気がして た。
買ったものをその場に落として、へたり込むような形で。
顔を覆うこともできず、肩を震わせて涙をぼろぼろとこぼしていた。
#アジト