【神】 因幡 理恵[サボンの香りの中に混じって、欲の香りも立ち昇る。 やがてフウタが桶の湯をかけ始めて、ほっと一つ息をつく。 やっと流してもらえるのかと思ったが、中途半端なところで止められた。 水が足されたことで、むしろ泡だらけになっている。 引き寄せられて肌を合わせれば、石鹸のせいか、いつも以上に吸い付くようだ。] あ、……洗わせなかったのは、フウタじゃろが…… [毒づいた時にはまだ、彼の意図を理解していなかった。 抗議の意を込めて尖らせた唇は、すぐにぱくっと閉じられる。] ん、……ふ、うぅ…… [ぬるり、ぬるりとフウタの体に擦り上げられて、たまらずに首に抱き着いた。 触れる面積が多いのもそうだが、己の体でフウタを洗うという、その淫靡な行為にくらくらする。酒はほとんど飲んでないのに、酔ってしまったかのようだ。 摩擦の代わりにぬめりを与えられ、粘膜のように敏感になった肌は、ことさら強くフウタの熱を伝えてくる。押し付けられてたわんだ乳房の間を、泡が伝い落ちる。臍を通り過ぎ、下腹部に溜まってなお、泡は熱い。 精一杯すがりついているつもりなのに、滑る肌ではうまくいかない。フウタの思うままに揺すられて、時折胸の先端同士が触れ合えば、「あ、あッ、……ぁ、」きゅうときつく眉を寄せる。] (G21) 2020/12/30(Wed) 17:38:35 |