【神】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>G26 清和 【4日目 『不発弾』処理】 「だーいじょうぶ!こう見えて運動神経いいんだから!」 下駄の鳴らす音のようにころころと笑う。 その言葉通り、あまり慣れないはずの下駄を履いていても 既に発掘作業に取り掛かっている足元はしっかりしたものだ。 「これどんくらい深く掘ったの?結構掛かりそう… ………なりたいもの?え、ーっと、……」 不意に投げ掛けられた問いに、あからさまに口ごもった。 子供の頃は将来何になる、なんて言っていたかもしれないけど 時間が経つにつれその思いはだんだんと薄れて、 今はただ、ただ何となく日々を過ごしていたようなものだ。 「……よくわかんないや」 湿気を帯びた夏の空気の中、滲んだ汗を拭って答えを返す。 自分はこれからもただ何となく日々を過ごして、 そうやって、ただ何となく人生を終えるのだろう。 そんな漠然とした、けれどどこか予感めいた思いがあった。 (G32) 2021/08/15(Sun) 22:20:45 |