【置】 王子 シール──王都にて── [時を同じくして、王城ではもう一人の王子が 誕生日を迎えていた。 名をサインといって、双子王子の兄にあたる。 成人になった日の朝、兄王子は父王に呼ばれて対面した。 跪いた上に祝福の言葉をかけられ、深々と頭を垂れる。 続けて体の加減はと訊ねられると、顔を上げ] …───おかげさまで。 わたしも大人になりましたので、以前よりも丈夫になりました。 もう父上の心配には及びません。 王位を継いだ暁には、立派に国を治めてみせます。 ……姉上のお力を借りず、とも。 [双子の姉の名を出せば、すぐに父王の叱責が飛ぶ。 しかし、人払いをした後だ。 この会話を聞いている者は、他に誰もいない。 サインは構わず続ける] (L0) 2024/01/22(Mon) 22:38:05 公開: 2024/01/22(Mon) 22:40:00 |