人狼物語 三日月国

246 幾星霜のメモワール


【置】 飄乎 シヴァ

 
 ──目が覚めたのは、何か予感めいたものがあったのかもしれない。


窓の外に白む空が見える。
太陽自体はまだのぼっていない、そんな時間。

寝直すか否かを考えて、
何かが身体をスーッと通り抜けたような、そんな気がした。

寝起きのまだ思考の定まらない頭でその正体に気を向けようとした時、
ごとん、硬いものが床に落ちる音がした。左手首が軽くなる。


 ──外れた? アレが?


咄嗟に思い浮かんだ疑問の答えを確かめるべく、
左手を視界の真ん中に持ち上げてみた。


 ──なにもない。


飛び跳ねる勢いで起き上がって、左手首を触る。なにもない。
本当になにもない、なくなった。

今の気分を象徴するように
窓から陽の光が差し込んで来た時、


 ──あの声が聞こえた。

 
(L1) 2024/02/08(Thu) 20:48:40
公開: 2024/02/08(Thu) 21:00:00