人狼物語 三日月国

113 【身内】頽廃のヨルムガンド【R18G】


【置】 錆鉄御納戸 ミズチ

──死人に、口はある。

一般的に聞く手段を持つ者の方が少ないことは事実だ。あれは、あれは、、これは? 死者の言葉を過去の記憶と言うなれば尚のこと、小生は聞かなければならない、そうあれかしと、のぞまれた、命を受けた、……どちらだった、どちらでもなかった? ああ、そうだった。きちんと全うしなければならない。

死霊共のこれらの言葉は小生に向けられたものではない、いや、いや、それは、そう、そうだ。小生に死にぞこないだの死体のくせにだのという言葉は当てはまらない。生きている者への怨み言は小生のものではない。小生は、イヤサカの技師の作った絡繰人形だ。そちらに宛てられた言葉はただの事実だ。何の隠し立てもなく、後ろ暗いこともない。


──ああいや、小生は死体になりたいのだった。

正しく言うなれば、死体になれるようになりたい。死ぬということは、生きていないとできない。小生は生きていると認められたい。こうして死者に怨み言を向けられるということは、ミズチは生者であることの証左ではなかろうか。

欲しがっていたものを聞かない理由もない。聞きたくない言葉だったから聞かなかったことにするというのは無責任だ。小生は、聞いている、聞こえている。それに、託された。少なくとも小生はそう認識している事案がある。故に聞かないことは選択肢に挙がらない。可能な限り、可能な限り、聞かなければならない。


──大事にする言葉は、きちんと持っている。

小生は思考しない生ける屍にはなりたくない。そうなりたくないのなら、考え続けろと言われた。故に、小生は思考し続けなければならない。耳を塞いだこの状態が続くことは、期待を裏切ることに繋がる。


──それは、いやだ。
 
(L2) 2021/12/13(Mon) 15:06:37
公開: 2021/12/13(Mon) 15:05:00