【鳴】 上原 隆司[――可愛い。 そう思わずにはいられなかった。 だから店員が去った後の矢川のか細い声で、上原は静かに席を立った。 歩み寄って、隣に座って、そっと彼女の肩に腕を回す。 そうすることが自然だと言うように] このくらいで足りるのか? [「ぎゅーって」。 それは片腕で肩を抱く程度のことではないのだろう。 だけど、上原にとって矢川はよく知らない年下の女の子で、接し方の匙加減もわからなくて。 どうしても、少しずつ探っていくことになるのだった]** (=1) 2021/03/01(Mon) 20:17:48 |