【鳴】 志隈──鈍色の球体6── [乳児を少し抜け出したくらいの小さな子供が、 黒髪の男の前でこてんと頭を傾けた。] あきらは、あきらっていうです? [なんで?どうして?と目につくもの全部に興味を持つ頃。 そんな子供が今日気になったのはよく言われる名前。] “ああ、秋生まれの良い子で、秋良だ。” あき?よいこ? “何時も食べてる黄色いのが美味しい時期だよ。” あれがあきです? “あれは栗だな。” あきらはくりら? “秋良は秋良だ。 良い子はこの本に出てくるような子だな。 人々の色んなお手伝いをしてるんだ。ん…” [男はポケットからの電子音に気付くと、 動物達や家族の手伝いをする絵本を指差し幼児に読ませ。 自分は携帯を取り出しメッセージを読み始めた。] (=4) 2020/10/06(Tue) 23:44:26 |