【鳴】 アジダル……、これは、 [ 屈んだ体制のまま我にかえり、暫し呆然と動きを止めた。 異国の響きを口にするかんばせはどこか見覚えのあるような雰囲気を湛えていた。この国の建築構造に見えた部屋の中、歩み寄る子供もまた。 チラリとこの世界の彼を盗み見る。間違いなく昔の彼の姿だろう。ともすれば彼女こそが彼の愛した母親で。 ] ……なるほどなあ。 [ 問いかけども返事はなく、顔を見ることもしない肉親に寄り添い、生存の意思が伺えることだけを喜びとしながら、日々衰えていく姿を眺める日々。 キツイなア、と苦笑めいた表情になった。 ] (=6) 2020/10/02(Fri) 7:40:29 |