【鳴】 志隈──淡色の球体4── [ この球体にあるのは、唯アジダルの背中を見つめ続けている無愛想な男のみ。 初めてそれを知ったのは子供の頃のような気がした。 誰だったかなどは全く覚えていない。 年下で自分が可愛いと自覚している方が、 恐らく好みだと言うのも忘れた。 それから他にあったとしても、 捨て去ったものの中であれば覚えていない。 次に自覚があるのは向こうから言われた時。 少し年上の人。 戦地に向かうのを心配されるまでならまだ良かった。 だが、目元のそれに気付いたらもう駄目だった。 ついぞ、本気を向ける事も出来なかった相手。 そうして、朧気に分かる中では3人目。 大切だと思っている。 その背中に触れたくなると同時に 胸が潰れそうになった時もある。 救ってくれた相手、 出会った事で自分に変化を齎した、幸せになって欲しい人。] (=15) 2020/10/04(Sun) 0:57:30 |