【鳴】 琴羽の天狗 時見[琴羽は無事かと、焦燥感ばかりが募る。 考えてもみれば、 この事態は予想し得たのだ。 恐山や殺生石に代表されるように 古来より硫黄の匂いは死界の匂いとされてきた。 それだけでなく、 この人里離れた秘境の山奥。 昼よりも夜が長くなるこの季節に執り行われる 人々が異形へと仮装する祭事────… これだけの条件が整っているのだ。 当然、人の世とあの世の境は曖昧になり。 その上俺らはつい浮かれて、 "黄昏時"に"地下に生え出ずる"モノを口にしてしまった。 言わば自ら地獄の釜の蓋を開いた様なものであり] (=17) 2020/10/24(Sat) 23:08:27 |