人狼物語 三日月国

246 幾星霜のメモワール


【雲】 彼方をのぞむもの シヴァ


古い物だから効果を為さなかったということも考えづらい。
呪いは確かにそこにあると判断できるし、
この遺跡を作った彼の聡明さと周到さを見るに、
時が理由で効果をなくすようなものには思えなかった。

即死や封印ではないから、装備による無効でもないだろう。
ミューツバイに呪い無効のギフトでもあっただろうか?
神聖国家の一貴族だ、あってもおかしくはないが。


その場で答えが出ることはなく。
遺された研究物を一通り頂戴し、遺跡を後にする。
そうして数日は、持ち帰った記録に目を通して過ごした。

薄々そうでないかとは思っていたが、
あの遺跡を作ったのは隠し棚にあったあの本の著者で間違いなさそうだ。
ミューツバイではないが、あの地方の出身だったのかもしれない。
そうなると、あの国出身の人間には効かないとか、
そういうことがあってもおかしくはないのだろうか。

──なんて考えは、楽観視が過ぎた 


彩雲の夢
(D3) 2024/02/05(Mon) 19:25:39