【雲】 使用人 リフルえっと…… [義手の事を聞かれると、口籠る。 まぁ義手を着けられた理由が理由だったから。 あどけない笑顔から目を逸らしてぽつぽつと説明する。 おかげさまで調子はいい。 左手は数年前の事故で駄目になった。 今のところ痛む事はない。 それよりたまにかゆい。 そんな事をあまり慣れない敬語で伝える。 この庭で姉がさらわれたから倒れたら嫌だ、と聞けば、不意に気付く。 そうか、ここ、オレが倒れていたところか。 思い出した、と言えるほど鮮明な記憶ではない。 けれど彼女から聞かずとも、ここがそうだと、何故か確信した。 ……いやな記憶をオレが増やしてしまったんだな、と、眉が下がる。自分より年下だろう彼女に心配されて、ますますいたたまれない気持ちになる] そちらに行っても構いませんか? [庭にはテーブルとかあっただろうか。 許されるのならその庭で一緒にお茶をして、 ひとつ、甘い香りの思い出を積もうと思った] (D18) nikibi 2020/10/02(Fri) 23:25:18 |