【雲】 高藤 杏音── 花火大会 ── [会えない時間が半月とは言え続くと、無性な寂しさを覚えた。 こういう時、メールや電話を頻繁にするわけじゃない自分を恨めしく思ったり。 逆にメールや電話で先輩を煩わせずに済んだことに、ほっとしたり。 今日は久しぶりに先輩に会える日で。 だからこそ、余計にワクワクとした気持ちを抑える事が出来なかった。 呼び鈴が鳴って、すぐに玄関から顔を出して。 浴衣姿の先輩に見惚れながら、気障な台詞>>D31を聞いて笑う。] 先輩に触れられない妖精よりも、恋人の方がずっと良いです。 ……手を繋げるでしょう? [繋いでくれた手と、お待たせって言葉に。 不意に泣きたくなったけど。 ここは家の前だし、抱き着くわけにもいかないし。 一瞬言葉に詰まって。] (D32) 2020/12/30(Wed) 0:00:22 |