【雲】 使用人 リフル[彼女が去ってしばらくして、ぽっぽと顔が熱くなった気がした。 照れているからではない、と思う。 知恵熱でも出ている様な気分。 そんな己が、外の空気にあたりたくなったのは当然と言えば当然か。のろのろと起き上がって肘を使ってドアノブと格闘して 扉を開ける。開けられんじゃん、と己を詰る。 ガチャン!と思わぬ大きな音がしたが、廊下を見渡しても誰もいなさそうだ。寝てろと咎められるのが面倒だったから、都合が良かった。 足は無事だから歩けたけれど、 鈍っている事を痛感する足取りで、 無意識に向かったのはあの庭だった] ……… [庭に出て、ちょっと歩いたり寝転がったりしたかったけれど、 もう出て行くと告げたんだから、 ここにいるのは相応しくないと、 少し空気を吸っただけで退散した。 そこは夜の澄んだ空気がおいしくて、 火照りも一瞬で静まった気がした] (D38) 2020/10/07(Wed) 12:41:36 |