【人】 命灯癒光 リーディエ>>-11 兄様達 「……えぇ、喉が渇いて。…お願いします」 この言葉は嘘ではない。 だからきっと、大丈夫。 走っていくノルの様子を見つめ、震える吐息を零す。 もし、もしも。本当にそうなら……? 「………どうしたら、いいの」 止まらない歯車の動きを止めるには……。 『………リディは』『ひとごろしじゃないわよね?』 『みんな、ひとごろしに……なっちゃうのかしら』 分からない。そうとしか、言いようがなくて。 動揺を隠すように深呼吸して、羽織っていたカーディガンを布の上に。 ふと、視界の端に誰かが映る。 「………ベリー兄様、」 あの夜からあまり姿を見かけなかった、大切な人。 見えた表情が何だか怖くて。聞こえる声色が恐くて。 笑顔で誤魔化して、ノルの帰りを待つ。 フィルの事とか、手紙の事とか。今の状況を軽く、説明しながら。 そうして少しすれば、ノルは水を手に戻ってくるのだろう。 ノルのお願い通り、考え通り。リディはまだ、ここに居た。 …貴方が秘密を共有する、大切な 大切な兄とともに。 (0) 2022/07/24(Sun) 22:22:58 |