【人】 アジダル[ 公僕のくせに碌な扱いを受けていないらしい。>>100 彼の置かれている環境は聞けば聞くほど傭兵の色が濃いのか、己の知る警備官や戦争屋のそれと悉く乖離していた。無論、彼の出自──保護者となる親族から距離を置いていた環境を思えば当然なのだが。 今ならンなとこいなくてももっとましな職場はある、とはこれまでに何度か伝えたはずだ。けれど強要するわけでもなければ窘めるわけでもない言葉は押し付けるタイミングを逃し、幾度となく酒の空気に流れていった。 踏み込むか踏み込まないかの際、どうせ川辺の小石のように降り積もったりしないのだと開き直っているのだ。彼が何度となく告げた自分の影響力などは少しも自覚などしていないのだから。 そして今夜もまた同じように、ようやること、と、口にすれば、グラスに落とした氷がからんと軽い音を立てた。 ] は、……わかったの? そういうのは早く言えよ。 [ 自力で行き当たったのならばそれこそ本職の出番だろうに。小さく見開かれた目はじろりと細まる。 彼が身内探しに乗り気でないのは承知の上。暫しの沈黙を越え、まあ誤魔化すでもなく正直に言ったからいいかとため息を吐いた。 ] (1) Muimerp 2020/09/29(Tue) 7:33:44 |