【人】 九朗[薄墨神社の境内からまっすぐ伸びるのは、朱塗りの鳥居と神の通り道でもある石階段。 しかしその階段を上るよりも少し手前。 一応は神社の敷地内ではあるものの、神社を囲む堀と桜の内側。 つまるところ神域の外側。 参拝と花見に来た客を相手に方々からやって来た出店や大道芸人で賑わうその場所で。 それこそ、一枚が二枚、二枚が四枚と野太い男の掛け声に合わせて太刀を振るう人形に、九朗がほんのわずか足を止めた隙にはぐれてしまうとは。>>0] どうしましょうか…。 [はて、と首をかしげるものの。 普段なら妙案を授けてくれるはずの一二三が今いないのだ。 念のため四方を見回してみたが、人ごみの中にあっても頭半分飛びぬけているはずの褐色は見当たらず。 懐から懐中時計を取り出して、パチンと開き文字盤を確認する。] (1) 2022/04/11(Mon) 8:01:55 |