【人】 因幡 フウタ[備え付けの浴衣には亀の模様が小さく散りばめられていた。 竜宮城だから、って事だろう。 それを着て落ち着く頃には、今年は残すところあと僅かだっただろうか。正しい大晦日の過ごし方だったかはわからん。 御簾の中にあたたかい茶を持ち込んで寛いだりしながら、いつの間にか時計が0時に迫り、やがて新しい年を告げるか。 その瞬間は何をしていただろう。 理恵の希望がなければ、 御簾の中で理恵を見つめていただろうが] あけましておめでとう、理恵。 今年もよろしくお願いします ……って言うんじゃと、人間の世界では。 新しい年に、 新しい気持ちで臨む…… 新しい年でも、俺の気持ちは変わらん。 [静かに語ったのち、そうじゃ、と思い出した様に荷物の方へ向かった。鞄から何やらごそごそ取り出して、理恵のところへ戻って来る。 両手でしっかり掴んで持って来た小箱をぱかりと開いて、 中から取り出した輪っかを持って、理恵の左手を取った] (1) 2021/01/05(Tue) 21:46:26 |