【人】 「狂」の神 アネーシャ◆絆取得 ナハト ここ数日の慌ただしさは日々暇を持て余していたアネーシャにとって大変好ましかった。世界はこうでなくちゃ面白くない。 「ーー……なのにあなたはどうしてそんなに暗い顔をしているのかしら〜。 こういうときは笑えばいいのよ〜」 言ってその通り行動する男ではないことは知っているし、だからこそ口にしている部分もあるのだけれど、破顔するナハトが見られるのなら、サティカルが神になってもいいかもしれないと思わなくもない。 アネーシャはずっと考えていた。 次の神について。 ずっと。 ずっとずっと、考えていた。 そんなつまらないことを、ずっと。 「わたくし、あなたがつくる世界ってとってもつまらないんじゃないかって思ってたわ〜。 だってあなた真面目だし、《義》って堅苦しいし答えが決まっているし、そんな世界疲れちゃうわって。 でもね、最近思ったの。 正義って、案外脆いんじゃないかって」 ーーあなたを見ていて、思ったの。 義と騙は、逆位置ではあるけれど、本質としては同じなんじゃないか、なんて、 ーー口にしたら、あなたは怒るかしら? 「ねぇ、ナハト。 あなたは、《神》に、なりたい?」 ちなみにわたくしはなりたくないわ〜、と、 言ってアネーシャは、ふふと微笑んだ。* (1) kikimi 2019/10/06(Sun) 23:32:13 |